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膝の内側が痛い原因とは?軟骨だけじゃない「鵞足炎」の可能性を柔道整復師が解説

山田涼太
23 時間前
読了時間: 10分
膝のストレッチをしている女性達

「膝の内側が、歩くとズキッと痛む」

「階段を降りるときや、椅子から立ち上がるときに膝の内側がつらい」

「レントゲンでは『少し軟骨が減っている程度』と言われたのに、膝が痛い」

「湿布や薬をもらったけど、なかなか良くならない」


膝の内側の痛みは、宇都宮整体院 咲でもよくいただくご相談です。


一般的には「膝の内側が痛いのは、軟骨のすり減り(変形性膝関節症)が原因」と言われることが多いと思います。この考え方は、大きく間違ってはいません。ただ、研究データや実際の臨床を見てみると、実は軟骨そのものではなく、膝の内側の少し下にある筋肉の付け根「鵞足(がそく)」が痛みに関わっているケースも少なくないことがわかってきています。

この記事では、柔道整復師の院長が、膝の内側が痛い原因と、痛む場所でわかる見分け方の目安、やってはいけない注意点をお伝えします。



まずはチェック:あなたの膝の痛みはどのタイプ?


原因を考える前に、今の膝の状態を確認しましょう。


☐ 膝が急に大きく腫れて、熱を持っている

☐ 転んだ、ひねったなど、はっきりしたケガのあとから痛い

☐ 膝が急に曲がらない、伸びない状態になった

☐ 膝のお皿の内側の少し下(すねの骨の内側の上のあたり)を押すと痛い☐ 階段を降りるとき、屈伸や立ち上がりのときに痛む

☐ 階段を降りるときや屈伸のときに、膝が外側に振られる・膝の内側に力が入りにくい


上の3つに当てはまる場合は、関節の中のケガや強い炎症の可能性があります。まず整形外科を受診してください。


下の3つに当てはまる場合は、鵞足炎や、膝まわりの筋肉の使い方が関係している可能性があるタイプです。



一般的な考え方:「膝の内側の痛み=軟骨のすり減り」


膝の内側の痛みで、最もよく知られているのが変形性膝関節症です。年齢とともに膝の軟骨がすり減り、特に膝の内側に負担が集中しやすいことがわかっています。

そのため、「膝の内側が痛いのは年齢のせい」「軟骨がすり減っているから仕方ない」と考える方も多いと思います。

ここまでは、多くの医療機関や整体院の記事で紹介されている考え方です。



実は「鵞足炎」が隠れていることも


ここからが、ぜひ知っていただきたいポイントです。

膝の内側の少し下、すねの骨の上のあたりには、太ももから伸びる3つの筋肉がまとまって付いている場所があります。内ももの内転筋の一つである「薄筋」、太ももの裏のハムストリングスの一つである「半腱様筋」、そして「縫工筋」です。その形がガチョウ(鵞鳥)の足に似ていることから「鵞足」と呼ばれています。

この鵞足の部分に炎症が起きて痛むのが「鵞足炎」です。


研究では、次のようなことが報告されています。

・超音波で調べた研究では、変形性膝関節症の方の約2割に、鵞足の炎症が見つかった

・変形性膝関節症がある人では、ない人に比べて鵞足の炎症がみられる割合が明らかに高かった

・膝の内側の痛みがある中高年の女性を調べた研究では、鵞足炎と関係していたのは軟骨のすり減りの程度ではなく、膝の向きや脚の使い方の癖だった


研究では中高年の

女性に多いとされていますが、当院では、立ち座りや重い物を持つお仕事をされている男性のご相談も多くみられます。

つまり、「軟骨がすり減っているから痛い」と思っていても、実際には筋肉の付け根の炎症が痛みに関わっていることがあるのです。軟骨は施術で元に戻すことはできません。


しかし、筋肉の付け根にかかる負担は、筋肉の状態や脚の使い方によって変えられる可能性があります。

ただし、鵞足炎はほかの膝の病気と症状が似ているため、実際にどのくらいの人がなっているのかは正確にわかっていない、とも言われています。正確な診断には、医師による検査が必要です。



迷ったときはどうする?痛む場所で見る目安


当院では、次のようにお伝えしています。

・膝の関節の「すき間」のあたりが痛む → 関節そのもの(軟骨や半月板)の負担が考えられる

・関節のすき間より指2〜3本ぶん下、すねの骨の内側を押すと痛む → 鵞足炎の可能性がある

・急な腫れ、熱感、曲げ伸ばしができない → まず整形外科へ

・両方当てはまる、自分では判断できない → 無理に自己判断せず、専門家に相談する


変形性膝関節症と鵞足炎は、同時に起きていることもあります。あくまで目安として考えてください。



やってはいけない注意点


痛む場所を強く揉む・押す

鵞足炎は筋肉の付け根に炎症が起きている状態です。痛いところを強く揉むと、炎症を悪化させることがあります。

「歩けば治る」と、痛みを我慢して長く歩く

痛みがあるうちに長距離を歩いたり、階段の上り下りを無理に続けたりすると、付け根への負担が積み重なります。

膝だけを見て、股関節や足首を見ない

膝に負担が集中する原因は、股関節やお尻の筋肉、足首がうまく使えていないことにある場合も多くあります。膝だけを湿布やサポーターでケアしても、負担のかかり方は変わりません。



こんな症状があれば、まず病院へ


次のような症状がある場合は、自己流のケアで様子を見ずに、整形外科などの医療機関を受診してください。

・膝が急に大きく腫れて、熱を持っている

・膝が曲がらない、伸びない状態で動かせなくなった(引っかかって動かない)

・転んだ、ひねったなど、ケガのあとから痛い

・体重をかけられないほど痛い

・発熱をともなう

・安静にしていても、夜寝ていても強く痛む



当院での考え方とアプローチ


当院では、膝の内側の痛みに対しても、痛む場所だけを施術することはありません。

カウンセリングで経過や病院での検査結果を伺ったうえで、歩き方や屈伸、階段を降りる動作を確認し、膝が外側に振られていないか、膝の内側に力が入っているかを評価します。さらに、内転筋やハムストリングス、膝の裏の膝窩筋の状態をたどりながら、股関節・お尻・足首がうまく使えているかまで確認し、「なぜ膝の内側に負担が集中しているのか」を明確にしていきます。

施術は、「ほぐす・鍛える・整える」の3つのアプローチで行います。ボキボキと音を鳴らすような施術は行いません。施術後には動きの確認を行い、運動機能を改善するためのセルフケアもお伝えしています。



【実例】「レントゲンでは問題なし」なのに膝が痛かった50代男性


当院に来られた方のお話です。


50代の男性で、重い荷物を持ったり、立ったり座ったりをくり返したりするお仕事をされている方でした。

膝の痛みで整形外科を受診し、レントゲンを撮ったところ、「少し軟骨が減っていますね」と言われる程度で、大きな問題は見つかりませんでした。湿布と薬を処方されたものの痛みは続き、「なぜこんなに痛いのかわからない」という状態で当院に来られました。


体を評価するために、歩き方や屈伸、階段を降りる動作を確認しました。すると、動作のたびに膝が外側に振られてしまい、膝の内側に力が入っていないことがわかりました。

そこで内ももの筋肉(内転筋)をたどって確認していくと、内転筋の一つである薄筋が付く「鵞足」の部分に強い痛みがありました。

あわせて、膝の裏にある膝窩筋(しっかきん)も硬くなっていました。


この方の場合、お仕事で立ち座りや重い物を持つ動作が多いのに、股関節やお尻の筋肉、足首がうまく使えていませんでした。

その分を膝が頼り続けた結果、膝まわりの筋肉がどんどん疲れていき、最終的に鵞足炎として痛みが出ていたと考えられます。


そこで、鵞足まわりや膝の裏の筋肉への施術に加えて、股関節・お尻・足首がしっかり働くように運動機能を改善するリハビリを行いました。その結果、膝の痛みは改善に向かっていきました。


実は、「膝関節が痛い」と来院される方を評価すると、このように関節そのものではなく、筋肉による鵞足炎だったというケースが当院では多くみられます。レントゲンで大きな問題がないのに膝が痛い場合は、関節の痛みなのか筋肉の痛みなのかを見分けることが、改善への大きな分かれ道になります。


※あくまで一例であり、体の状態によって経過には個人差があります。



100人いれば、100通りの膝がある


この記事では、膝の内側が痛い原因の一般的な考え方と、研究データ、実際のケースをお伝えしてきました。ですが、同じ「膝の内側の痛み」でも、痛む場所も原因も、人によってまったく違います。

「年齢のせい」「軟骨がすり減っているから仕方ない」とあきらめる前に、一度専門家に膝の状態を見てもらうことを忘れないでください。



まとめ:「軟骨のせい」とあきらめる前に


膝の内側の痛みは、軟骨のすり減りだけが原因とは限りません。膝の内側の少し下にある筋肉の付け根「鵞足」に炎症が起きていることもあり、研究では変形性膝関節症の方の約2割にみられたという報告もあります。当院でも、レントゲンで大きな問題がないのに膝が痛い方を評価すると、鵞足炎だったというケースが多くみられます。

急な腫れや熱感、曲げ伸ばしができないなどの症状がある場合は、まず整形外科へ。そのうえで、階段や立ち上がりで膝の内側が痛む方や、湿布や薬でも良くならない方は、膝まわりの筋肉や、股関節・お尻・足首の使い方を見直してみてください。

膝の内側の痛みをくり返している場合は、一度ご相談ください。宇都宮整体院 咲では、丁寧なお話と検査で痛みの原因を見極め、一人ひとりに合った施術とセルフケアをご提案しています。


この記事を書いた人

宇都宮整体院 咲 院長 山田涼太

柔道整復師(国家資格)。整体院の院長を経て、2023年に宇都宮整体院 咲を開業。

「なぜ痛いのか」を一緒に見つけ、再発しにくい体づくりをサポートしています。



あわせて読みたい




ご予約・ご相談

「膝の内側の痛みが続いている」「レントゲンでは問題ないと言われたけど痛い」という方は、お気軽にご相談ください。

【LINEで予約・相談する】https://lin.ee/YNiauVf


追伸

ここまでお読みいただきありがとうございます。


今回の内容のように、膝の内側の痛みには、軟骨のすり減りだけでなく、鵞足に付く筋肉の疲れ、膝の内側に力が入らない脚の使い方、股関節やお尻、足首の動きが関わっていることが多くあります。


そのため、

「年齢のせいだから仕方ない」

「痛いところを強く揉む」

「我慢して歩き続ければ治る」

といった対処だけでは、痛みをくり返してしまう可能性があります。研究でも、鵞足炎は軟骨のすり減りの程度よりも、膝の向きや脚の使い方の癖と関係していたことが報告されています。


実際に、

「レントゲンでは問題ないと言われ、湿布と薬で様子を見ている」

「サポーターをしているけど、階段を降りるのがつらいまま」

「痛い場所をマッサージしても、すぐに戻ってしまう」

という方の多くは、「膝の内側に負担が集中する原因」へのアプローチが、これまでの対処に含まれていない状態です。


もし、

・急な腫れや熱感、曲げ伸ばしができないなどの症状はない

・膝の内側の少し下を押すと痛い

・階段を降りるときや立ち上がりで、膝の内側の痛みをくり返しているこのような状況に当てはまる場合は、一度体の状態を確認し、原因に合わせたケアに取り組むことを検討する価値があります。


当院では、経過や病院での検査結果を丁寧に伺ったうえで、歩き方や屈伸、階段を降りる動作を確認し、膝まわりの筋肉の状態や股関節・お尻・足首の使い方まで含めて評価し、「なぜ膝の内側に負担がかかっているのか」を一緒に整理していきます。

無理に通院をすすめることはありませんので、「まずは自分の状態を知りたい」という方も安心してご相談ください。→ 詳しくはこちらの膝関節痛ページをご覧ください

参考文献

・Helfenstein M Jr, Kuromoto J. Anserine syndrome. Rev Bras Reumatol. 2010;50(3):313-327.・Alvarez-Nemegyei J. Risk factors for pes anserinus tendinitis/bursitis syndrome: a case control study. J Clin Rheumatol. 2007;13(2):63-65.・StatPearls「Pes Anserine Bursitis」(NCBI Bookshelf)

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