ゴルフで腰が痛くなる原因とは?実は「股関節」が関係している理由を柔道整復師が解説

「スイングするたびに、腰がズキッと痛む」
「ラウンドの翌日は、腰が重くて起き上がるのがつらい」
「打ちっぱなしで球を打ちすぎると、腰が張ってくる」
「腰痛が気になって、思いきり振れない」
ゴルフをしていて腰が痛くなるというご相談は、宇都宮整体院 咲でもよくいただきます。
一般的には「ゴルフは腰をひねるスポーツだから、腰に負担がかかるのは仕方ない」と言われることが多いと思います。この考え方も、間違いではありません。ただ、研究データを見てみると、実は腰そのものよりも、「股関節の動きの硬さ」が腰痛と関係していることがわかってきています。
この記事では、柔道整復師の院長が、ゴルフで腰が痛くなる原因と、自分でできるチェック方法、やってはいけない注意点をお伝えします。
まずはチェック:あなたの腰痛はどのタイプ?
原因を考える前に、今の状態を確認しましょう。
☐ 足のしびれや、力の入りにくさがある
☐ 安静にしていても、夜寝ていても腰が痛い
☐ スイングの途中で「グキッ」となり、急に動けなくなった
☐ スイング中や、ラウンドの後半になると腰が痛くなる
☐ フォロースルーで体を反らすときに、腰が痛む
☐ 左右であぐらのかきやすさや、脚の開き方に差がある
上の2つに当てはまる場合は、ゴルフを休んで、まず整形外科を受診してください。
3つ目のように急に痛くなった場合は、ぎっくり腰(急性腰痛)の可能性があります。無理にプレーを続けないようにしましょう。
下の3つに当てはまる場合は、股関節や体の使い方が関係している可能性があるタイプです。
一般的な考え方:「腰をひねるから腰が痛くなる」
ゴルフのスイングは、体を大きくひねる動きのくり返しです。プロもアマチュアも、ゴルファーに多い体の悩みのひとつが腰痛だと言われています。
そのため、「腰をひねりすぎているから痛い」「腰の筋肉が弱いから痛い」と考えて、腰のストレッチや腹筋運動に取り組む方も多いと思います。
ここまでは、多くの記事で紹介されている考え方です。
実は「腰」はあまりひねれない関節
ここからが、ぜひ知っていただきたいポイントです。
背骨のうち、腰の部分(腰椎)は、構造上ひねる動きがとても小さい関節です。スイングの「ひねり」の大部分は、本来、腰ではなく**股関節と、背中の上の部分(胸椎)**が担っています。
ところが、股関節や胸椎が硬くなると、その分の動きを、もともとひねりが苦手な腰が無理に補うことになります。これが、腰に負担が集中するしくみです。
研究でわかった「前側の股関節」との関係
プロゴルファーを対象にした研究(Vadら、2004年、米国スポーツ医学誌)があります。この研究では、男子プロゴルファー42人の股関節と腰の動きを測りました。
その結果、
・約3人に1人が、プレーに影響するほどの腰痛を経験していた
・腰痛を経験した選手では、**前側の股関節(右打ちなら左股関節)を内側にひねる動き(内旋)**が小さかった
・腰を反らす動きも小さかった
・後ろ側の股関節の動きには、はっきりした差はなかった
という結果でした。
右打ちの場合、ダウンスイングからフォロースルーにかけて、体重を左脚に乗せながら骨盤が左に回ります。このとき、左股関節には内側にひねる動きが必要になります。ここが硬いと骨盤がうまく回りきれず、そのぶん腰がひねられてしまうと考えられています。
ただし、この研究は「同時点での関係」を調べたものです。股関節が硬いから腰痛になったのか、腰痛があるから動きが硬くなったのかまでは、はっきりとはわかっていません。また、対象は男子のプロゴルファーです。すべての方に同じことが当てはまるわけではない点は、知っておいてください。
迷ったときはどうする?
当院では、次のようにお伝えしています。
・しびれ、安静時の強い痛みがある → ゴルフを休んで、まず整形外科
・スイング中に急に痛くなり、動けない → プレーを中止して安静に。強い痛みが続くなら医療機関へ
・スイング中や、ラウンド後に痛くなる → 股関節や胸椎の動きを確認してみる
・左右の股関節の動きに差がある → 腰だけでなく、股関節のケアも取り入れる
自分でできる、股関節のかんたんチェック
① 椅子に深く座り、膝を90度に曲げます
② 膝の位置は動かさずに、足先だけを外側に開きます(これが股関節を内側にひねる「内旋」の動きです)
③ 左右で開き具合や、つっぱり感に差がないかを比べます
右打ちの方で、左側が開きにくい場合は、股関節の内旋の動きが小さくなっている可能性があります。痛みが出る場合は、無理に動かさず中止してください。
やってはいけない注意点
痛み止めを飲んで、ラウンドを続け
る痛みを感じにくくしたまま何度もスイングすると、気づかないうちに負担が積み重なることがあります。
腰だけを強くストレッチする・ひねる
腰を無理にひねるストレッチは、もともとひねりが苦手な腰に、さらに負担をかけてしまうことがあります。
練習量を急に増やす
打ちっぱなしで一度に大量の球を打つと、同じ方向へのひねりが短時間にくり返されます。シーズン始めや、久しぶりのプレーのときは特に注意しましょう。
準備運動をしないで、いきなりフルスイングする
特に朝一番のティーショットは要注意です。股関節や背中をゆっくり動かしてから、スイングを始めましょう。
こんな症状があれば、まず病院へ
次のような症状がある場合は、ゴルフや自己流のケアで様子を見ずに、整形外科などの医療機関を受診してください。
・安静にしていても、夜寝ていても痛みが強い
・お尻から足にかけてのしびれや、力の入りにくさがある
・尿や便が出にくい、またはもれる
・発熱をともなう・転倒など、強いケガのあとから痛い
・体重が急に減っている
当院での考え方とアプローチ
当院では、ゴルフによる腰痛に対しても、痛みのある腰だけを施術することはありません。
【例:股関節の回旋(内旋・外旋)の動きの左右差、骨盤の前傾・後傾、背中のひねりの動きを評価し、「なぜ腰にひねりの負担が集中しているのか」を明確にしていきます。セルフケアは腹横筋から始め、骨盤を安定させたうえで、股関節の動きを引き出していきます。】
【実例】午後になると腰が痛くなっていた50代のゴルファー
当院に来られた方のお話です。
50代の男性で、週に2日ゴルフを楽しまれている方でした。
この方は、午前中のラウンドは問題なく回れるのに、お昼休憩をはさんだあとの午後になると、腰がかなり痛くなってしまうというお悩みを抱えていました。
体を評価してみると、股関節を後ろに伸ばす動き(伸展)が小さく、お尻の筋肉(臀筋群)がとても硬くなっていました。
ゴルフは、スイングだけでなく、コースを長い距離歩いて回るスポーツです。
歩くときに脚を後ろへ送り出すには、股関節の伸展と、お尻の筋肉の働きが欠かせません。
午前中は、歩くことで体が温まり、硬い筋肉もなんとか動いていました。
ところが、お昼休憩で一度座って体が冷えると、お尻の筋肉が再び固まってしまいます。
その状態で午後のラウンドを歩き、スイングをくり返すことで、お尻と股関節が担うはずの動きを腰が代わりに引き受け、負担が集中していたのです。
そこで、股関節の伸展の動きとお尻の筋肉に重点を置いて施術を行ったところ、腰痛は改善に向かっていきました。
「午後になると痛くなる」という、一見ゴルフのスイングとは関係なさそうな症状にも、股関節の動きが深く関わっていたケースです。
※あくまで一例であり、体の状態によって経過には個人差があります。
100人いれば、100通りのスイングと体がある
この記事では、ゴルフで腰が痛くなる原因の一般的な考え方と、研究データをお伝えしてきました。ですが、同じ「ゴルフの腰痛」でも、スイングの癖も、体の硬さも、人によってまったく違います。
自分では原因がわからないときは、腰のストレッチだけで済ませようとせず、専門家に体の状態を見てもらうことを忘れないでください。
まとめ:腰をケアする前に、股関節を見直す
ゴルフの腰痛は、「腰をひねるから仕方ない」ものではありません。スイングのひねりは本来、股関節と背中が担う動きです。研究では、前側の股関節の内旋の硬さと腰痛の関係が報告されています。
しびれや安静時の強い痛みがある場合は、まず整形外科へ。そのうえで、スイングのたびに腰が痛む方や、ラウンドのあとに腰痛をくり返す方は、腰だけでなく股関節の動きも見直してみてください。
長くゴルフを楽しむためにも、腰痛をくり返している場合は一度ご相談ください。宇都宮整体院 咲では、丁寧なお話と検査で痛みの原因を見極め、一人ひとりに合った施術とセルフケアをご提案しています。

この記事を書いた人
宇都宮整体院 咲 院長 山田涼太
柔道整復師(国家資格)。整体院の院長を経て、2023年に宇都宮整体院 咲を開業。
「なぜ痛いのか」を一緒に見つけ、再発しにくい体づくりをサポートしています。
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ご予約・ご相談
「ゴルフのたびに腰が痛くなる」「腰痛を気にせず、思いきりスイングしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
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追伸
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の内容のように、ゴルフによる腰痛には、前側の股関節を内側にひねる動きの硬さ、背中のひねりの動き、骨盤の安定性、練習量やウォーミングアップの有無が関わっています。
そのため、
「痛み止めを飲んでラウンドを続ける」
「腰だけを強くストレッチする」
「腰の筋肉を鍛えれば大丈夫だろう」
といった対処だけでは、腰痛をくり返してしまう可能性があります。
研究でも、腰痛を経験したプロゴルファーでは、腰そのものではなく前側の股関節の動きに差が見られたことが報告されています。
実際に、
「シーズンになると、毎年腰を痛めてしまう」
「ストレッチをしているのに、ラウンド後の腰痛が変わらない」
「腰が怖くて、思いきり振れなくなった」
という方の多くは、
「腰以外の場所が動いていないこと」へのアプローチが、これまでの対処に含まれていない状態です。
もし、
・しびれや排尿排便の異常など、緊急性の高いサインはない
・スイング中やラウンド後に腰痛をくり返している
・左右の股関節の動きに差を感じるこのような状況に当てはまる場合は、一度体の状態を確認し、原因に合わせたケアに取り組むことを検討する価値があります。
当院では、プレーの頻度や痛みが出るタイミングを丁寧に伺ったうえで、股関節の動きや骨盤の傾き、体の使い方まで含めて評価し、「なぜ腰にひねりの負担が集中しているのか」を一緒に整理していきます。
無理に通院をすすめることはありませんので、「まずは自分の状態を知りたい」という方も安心してご相談ください。
参考文献
・Vad VB, Bhat AL, Basrai D, Gebeh A, Aspergren DD, Andrews JR. Low back pain in professional golfers: the role of associated hip and low back range-of-motion deficits. Am J Sports Med. 2004;32(2):494-497.・日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』南江堂, 2019





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