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臼蓋形成不全とは?日本人の股関節痛に多い「隠れた原因」と整体でできることを柔道整復師が解説

山田涼太
9月8日
読了時間: 7分

更新日:6 日前

股関節の痛みを我慢する女性


「病院で臼蓋形成不全と言われた」

「股関節の受け皿が浅いと言われたけど、どういうこと?」

「将来、変形性股関節症になってしまうの?」


このような不安を抱えている方は少なくありません。

臼蓋形成不全は、日本人の股関節痛の背景に多い「隠れた原因」です。この記事では、宇都宮整体院 咲の院長で柔道整復師の山田が、臼蓋形成不全の医学的な特徴と、整体でできること・できないことを正直にお伝えします。



1. 臼蓋形成不全とは?


股関節は、骨盤側にあるお椀のようなくぼみ「臼蓋(きゅうがい)」に、太ももの骨の先端「骨頭(こっとう)」がはまり込む構造をしています。

臼蓋形成不全とは、この受け皿(臼蓋)が生まれつき浅く、骨頭を十分に覆えていない状態のことです。医学的には「寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)」とも呼ばれます。

受け皿が浅いと、体重を受け止める面積が狭くなります。そのため、骨頭にかかる圧力が一部に集中しやすくなるのです。



2. 日本人の変形性股関節症に多い「隠れた原因」


膝の変形性関節症は、加齢による摩耗が主な原因とされています。一方、日本人の変形性股関節症は、臼蓋形成不全が背景にある「二次性」のものが大多数を占めるとされています。

つまり、股関節痛は「使いすぎ」や「年齢」だけでなく、もともとの骨格の特徴が土台にあることが少なくありません。

ただし、臼蓋形成不全があっても、全員が変形性股関節症に進行するわけではありません。 受け皿の浅さの程度や、筋肉の状態、体重、生活での負担のかかり方などによって経過は大きく変わります。

変形性股関節症の進行段階や症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。→ 変形性股関節症とは?進行段階と整体でできること・病院を優先すべきサインを柔道整復師が解説



3. 臼蓋形成不全の特徴と見つかり方


臼蓋形成不全には、次のような特徴があります。

・女性に多い・家族に股関節の病気がある方にみられることがある

・赤ちゃんの頃に股関節脱臼(発育性股関節形成不全)を指摘された既往がある方もいる

若い頃は症状がないことも多く、20〜40代になって股関節の痛みが出て初めて、レントゲン検査で見つかるケースもあります。

レントゲンでは、受け皿が骨頭をどれくらい覆っているかを角度(CE角など)で評価します。この数値の目安から「臼蓋形成不全」「境界型」などと判断されます。



4. よくみられる症状


・足の付け根(鼠径部)の痛みや違和感・長く歩いたり立ったりすると、股関節がだるくなる・疲れやすい・歩き始めや立ち上がりの痛み・股関節に引っかかる感じがある

受け皿が浅いぶん、関節のふちにある軟骨(関節唇:かんせつしん)に負担がかかりやすく、引っかかり感や鋭い痛みにつながることもあります。



5. 医学的な治療


① 保存療法

体重管理、股関節に負担をかけにくい生活の工夫、股関節周囲の筋力訓練とストレッチ(運動療法)が基本です。ただし、過度な歩行など、関節に体重がかかりすぎる方向での訓練は逆効果になることがあります。負荷のかけ方を誤らないことが重要です。

② 手術療法

痛みが強い場合や、関節の状態によっては手術が検討されます。比較的若く、軟骨がまだ残っている段階では、自分の骨を活かして受け皿の覆いを増やす「骨切り術」が検討されることがあります。変形が進んだ段階では「人工股関節置換術」が検討されます。



6. 早めに整形外科を受診してほしい理由


骨切り術のように自分の関節を活かす手術は、軟骨が残っている早い段階でなければ選択しにくいとされています。

そのため、次のような方は、整体より先に一度整形外科で検査を受けてください。

・20〜40代で、足の付け根の痛みが続いている

・まだレントゲン検査を受けたことがない

・安静にしていても強く痛む、夜も痛みで眠れない

・急に痛みが強くなり、歩くのが難しくなった

「早めに自分の股関節の状態を知っておくこと」が、将来の選択肢を残すことにつながります。



7. 整体でできること、できないこと


整体でできないこと

受け皿の浅さ(骨格)そのものを変えることはできません。進行した変形を元に戻すこともできません。

整体で力になれる可能性があること

受け皿の形は変えられませんが、受け皿と骨頭の「位置関係」は、骨盤の傾きによって変わります。

骨盤が後ろに傾く(後傾する)と、受け皿が骨頭の前側を覆う範囲がさらに減るとされています。もともと受け皿が浅い臼蓋形成不全の方にとって、骨盤の傾きは股関節への負担の偏りに直結しやすいポイントです。

だからこそ、骨盤の傾きや、股関節を支える筋肉のバランスを整えることには意味があると考えています。



8. 当院での確認と施術の流れ


① レントゲンの結果を伺います

まず、病院での診断やレントゲンの結果をお聞きします。骨同士が当たっておらず、骨が削れていない段階であれば、整体の範囲として積極的に施術を行います。骨同士が接している場合や判断が難しい場合は、主治医の方針を優先し、無理な施術は行いません。

② 骨盤の前傾・後傾を確認します

骨盤がどちらに傾いているかで、受け皿が骨頭を覆う範囲が変わります。立ち方や座り方の癖も含めて確認します。

③ 恥骨筋・腸骨筋を中心に、股関節の動き(特に外旋)を確認します

股関節の前側から内側にある恥骨筋と腸骨筋は、骨盤と股関節の位置関係に関わる筋肉です。外旋(太ももを外側にひねる動き)の可動域とあわせて評価します。

④ セルフケアは「腹横筋」からスタートします

腹横筋は、お腹の奥で体幹を支える筋肉です。ここが働くと骨盤が安定しやすくなり、股関節への負担の偏りを減らすことにつながります。

⑤ 歩き方の指導を行います

毎日の歩行は股関節に負担がかかる場面のひとつです。歩幅を大きくして歩くことなどを確認し、股関節に負担をかけにくい歩き方をお伝えしています。



9. 実際にあったご相談から


以前、臼蓋形成不全から変形性股関節症と診断され、「歩くと股関節が痛むので、なるべく歩かないようにしている」という方のご相談がありました。運動不足によって股関節を支える筋力がさらに落ち、不安定さが増している状態でした。

骨盤の傾きや股関節まわりの筋肉に無理のない範囲でアプローチしていく中で、日常動作での負担感が少しずつ和らいでいきました。あくまで一例であり、関節の状態や骨格の特徴によって経過は異なります。



10. まとめ


・臼蓋形成不全は、股関節の受け皿が生まれつき浅い状態

・日本人の変形性股関節症の背景に多い「隠れた原因」

・臼蓋形成不全があっても、全員が進行するわけではない

・自分の関節を活かす治療の選択肢を残すためにも、早めの整形外科受診が大切

・骨格は変えられないが、骨盤の傾きや筋肉のバランスを整えることで、股関節への負担の偏りを減らせる可能性がある



ご予約・ご相談

臼蓋形成不全と言われて不安な方、今の股関節の状態や日常生活での注意点を知りたい方は、お気軽にご相談ください。

ご予約・ご相談はLINEから24時間受け付けています。https://lin.ee/XOMJp3n


追伸

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

臼蓋形成不全による股関節の痛みには、受け皿の浅さという骨格の特徴に加えて、骨盤の傾き、股関節を支える筋肉のバランス、歩き方の癖が重なって関わっていることが多くあります。

「痛いからできるだけ歩かない」という対処だけでは、股関節を支える筋力が落ち、かえって不安定さが増すこともあります。

臼蓋形成不全と診断されているけれど、手術を検討する段階ではない方、運動療法の負荷の加減が自分ではわかりにくい方は、整形外科での治療と並行して体の使い方を見直すことも一つの選択肢です。

当院では、レントゲンの結果を伺ったうえで、骨盤の傾き、恥骨筋・腸骨筋の状態、股関節の外旋の動きを評価し、「なぜ股関節に負担が偏っているのか」を一緒に整理していきます。

無理に通院をすすめることはありませんので、「まずは今の状態について相談したい」という方も安心してご相談ください。

参考文献・日本整形外科学会・日本股関節学会 監修『変形性股関節症診療ガイドライン』(南江堂、最新版)・慶應義塾大学病院 KOMPAS「変形性股関節症」・公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック 変形性股関節症 痛みと上手に付き合うために」・徳洲会グループ「整形外科の病気:変形性股関節症」

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