坐骨神経痛で夜寝つけない方へ|楽な寝方の見つけ方と「お尻の筋肉」の関係を柔道整復師が解説

「坐骨神経痛があって、夜どの姿勢で寝ても落ち着かない」
「楽な姿勢が見つからず、なかなか寝つけない」
「夜中にふくらはぎや足がつって目が覚める」
「どんな寝方をすればいいのか、誰にも教えてもらったことがない」
坐骨神経痛のある方の夜の悩みは、宇都宮整体院 咲でもよくいただくご相談です。
一般的には「横になって安静にしていれば、神経への負担は減る」と言われます。この考え方は、大きく間違ってはいません。ただ、実際には横になる姿勢によって、お尻の筋肉が引っぱられ、坐骨神経が刺激されやすくなることがあります。だからこそ、坐骨神経痛のある方にとっては、自分に合った「ベストポジション」を見つけることがとても大切です。
この記事では、柔道整復師の院長が、坐骨神経痛で夜寝つけない理由と、楽な寝方の基本、すぐに病院へ行くべきサインをお伝えします。
まずはチェック:あなたの夜の状態はどのタイプ?
原因を考える前に、今の状態を確認しましょう。
☐ どんな姿勢で寝ても痛みが変わらず、じっとしていても強く痛む
☐ 発熱がある、または理由なく体重が減っている
☐ 足に力が入りにくい、尿や便が出にくい・もれる
☐ 楽な姿勢が見つからず、何度も寝返りを打ってしまう
☐ 横向きで寝ると、上側の膝が内側に倒れてお尻がつっぱる
☐ 夜中にふくらはぎや足がつることがある
上の3つに当てはまる場合は、坐骨神経痛以外の病気が隠れている可能性があります。
寝方で様子を見ずに、すぐに整形外科などの医療機関を受診してください。
下の3つに当てはまる場合は、寝る姿勢やお尻の筋肉の状態が関係している可能性があるタイプです。
一般的な考え方:「横になれば負担は減る」
腰や神経への負担は、立っているときや前かがみのときに大きくなり、横になると小さくなると言われています。
実際に、腰の骨の間にある椎間板の圧力を体の中で測った研究(Wilkeら、1999年)でも、横になっているときの圧力は、立っているときの約5分の1と小さいことが報告されています。
そのため、「坐骨神経痛がつらいときは、とにかく横になって休めばいい」と考える方も多いと思います。
ここまでは、多くの記事で紹介されている考え方です。
実は「お尻の筋肉」の引っぱられ方で、神経の反応が変わる
ここからが、ぜひ知っていただきたいポイントです。
坐骨神経痛というと、腰の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を思い浮かべる方が多いと思います。しかし当院で評価していると、お尻の深い部分にある梨状筋(りじょうきん)や中殿筋(ちゅうでんきん)といった筋肉が関わっているケースが多くみられます。 坐骨神経は、このお尻の筋肉のすぐそばを通っています。
このお尻の筋肉は、股関節が内側に倒れたり(内転)、内側にねじれたり(内旋)すると引っぱられ、まわりの圧が高まります。すると、そばを通る坐骨神経が刺激され、症状が出やすくなります。
実際に、梨状筋症候群を調べる検査でも、股関節を曲げて膝を内側に倒し、内側にねじった姿勢で症状が出るかどうかを確認します(Fishmanら、2002年)。
ここで、横向きに寝たときの姿勢を思い浮かべてみてください。上側の脚の膝が布団に向かって内側に倒れると、まさにこの「股関節が曲がって、内側に倒れてねじれた姿勢」になります。横になって腰の負担は減っているのに、寝る姿勢によっては、お尻の筋肉が一晩中引っぱられた状態になってしまうのです。
迷ったときはどうする?楽な寝方の基本
当院では、坐骨神経痛のある方に、次の寝方を基本としてお伝えしています。
① 痛い側を上にして、横向きに寝る
たとえば右側に坐骨神経痛がある場合は、右側が上、左側が下になるように横向きに寝ます。痛い側を下にすると、お尻の筋肉が体重で圧迫されてしまうためです。
② 膝の間に、抱き枕やクッションをはさむ
膝の間にクッションをはさむと、上側の脚が内側に倒れにくくなり、股関節が少し外にひらいた位置で安定します。お尻の筋肉の引っぱられがゆるみ、神経も楽になりやすくなります。
③ それでも落ち着かないときは、少しずつ調整する
クッションの厚みや、膝の曲げ具合を変えてみて、自分が一番楽に感じる位置を探してみてください。楽な姿勢は人によって違います。
なお、腰のヘルニアや脊柱管狭窄症から来ている坐骨神経痛では、楽な姿勢が異なる場合があります。たとえば脊柱管狭窄症では、仰向けで膝の下にクッションを入れて、腰の反りを減らすと楽になることがあります。自分ではどちらのタイプか判断できない場合は、無理をせず専門家に相談してください。
やってはいけない注意点
痛い側を下にして寝る
お尻の筋肉が体重で圧迫され、坐骨神経が刺激されやすくなります。
寝る前に、お尻や腰を強くストレッチする
神経が刺激されている状態で強く伸ばすと、かえって症状が強くなることがあります。特に、膝を胸に引き寄せて内側にひねるようなストレッチは、お尻の筋肉をさらに引っぱってしまうことがあります。
「安静が一番」と、日中もほとんど動かない
運動不足は、お尻や股関節まわりの筋肉が硬くなる大きな原因になります。強い痛みがなければ、無理のない範囲で体を動かすことも大切です。
こんな症状があれば、まず病院へ
次のような症状がある場合は、寝方の工夫で様子を見ずに、整形外科などの医療機関を受診してください。
・どんな姿勢でも痛みが変わらず、じっとしていても強く痛む
・夜、痛みで何度も目が覚めて、日に日に強くなっている
・発熱をともなう
・理由なく体重が減っている
・がんの治療歴がある
・足に力が入りにくい、しびれの範囲が広がっている
・尿や便が出にくい、またはもれる
当院での考え方とアプローチ
当院では、坐骨神経痛に対しても、痛みやしびれのある部分だけを施術することはありません。
カウンセリングで、どんな姿勢で寝ているか、夜どんなふうにつらいのかを丁寧に伺います。そのうえで、梨状筋や中殿筋などお尻の筋肉の状態に加えて、腰の骨(腰椎)の動き、背中(胸椎)の動き、股関節の動き、歩き方まで確認します。
坐骨神経痛の方は、腰椎がうまく動いていない、または逆に動きすぎているケースが多くみられます。そこで、お尻の筋肉へのアプローチに加えて、腰椎を支える腸腰筋のリハビリや、胸椎の動きを出すアプローチを行い、体全体から改善を目指していきます。
施術は、「ほぐす・鍛える・整える」の3つのアプローチで行います。
ボキボキと音を鳴らすような施術は行いません。
施術後には動きの確認を行い、その方に合った寝方やセルフケアもお伝えしています。
【実例】夜、楽な姿勢が見つからなかった坐骨神経痛の方々
当院に来られる坐骨神経痛の方の中には、
「夜、楽な姿勢が見つからず寝つけない」
「夜中に足やふくらはぎがつってしまう」という方が少なくありません。
こうした方を評価すると、多くの場合、腰そのものよりも、梨状筋や中殿筋といったお尻の筋肉に原因がありました。
横向きで寝たときに上側の膝が内側に倒れ、股関節が内側にねじれた姿勢になることで、お尻の筋肉が引っぱられ、坐骨神経が反応していたのです。
そこで、痛い側を上にした横向きの姿勢で、膝の間に抱き枕をはさんで寝ることをお伝えしました。股関節が少し外にひらいた位置で安定することで、お尻の筋肉の緊張がゆるみ、寝るときのポジションが落ち着いたという声をいただいています。
あわせて施術では、お尻の筋肉へのアプローチに加えて、腸腰筋のリハビリや胸椎の動きを出すことで、体全体から改善を目指しました。
根本的な背景としては、運動不足によって歩き方が崩れていたり、大股で歩けなくなっていたりするケースがほとんどです。
夜の寝方の工夫とあわせて、日中の体の使い方を見直していくことが、改善への近道になります。
※あくまで一例であり、体の状態によって経過には個人差があります。
100人いれば、100通りの体がある
この記事では、坐骨神経痛で夜寝つけない理由と、楽な寝方の基本をお伝えしてきました。ですが、同じ「坐骨神経痛」でも、原因も楽な姿勢も、人によってまったく違います。
自分では判断が難しいときは、寝方だけで乗り切ろうとせず、専門家に体の状態を見てもらうことを忘れないでください。
まとめ:自分の「ベストポジション」を見つけることから
坐骨神経痛で夜寝つけないのは、横になる姿勢によって、お尻の筋肉が引っぱられ、坐骨神経が刺激されてしまうことが一因です。
痛い側を上にした横向きで、膝の間に抱き枕をはさむ寝方を基本に、自分に合ったベストポジションを探してみてください。
一方で、どんな姿勢でも変わらない夜の痛みや、発熱・体重減少・足の力の入りにくさなどをともなう場合は、すぐに医療機関を受診してください。
夜に楽な姿勢が見つからない日が続いている場合や、坐骨神経痛をくり返している場合は、一度ご相談ください。宇都宮整体院 咲では、丁寧なお話と検査で痛みの原因を見極め、一人ひとりに合った施術とセルフケアをご提案しています。

この記事を書いた人
宇都宮整体院 咲 院長 山田涼太
柔道整復師(国家資格)。整体院の院長を経て、2023年に宇都宮整体院 咲を開業。
「なぜ痛いのか」を一緒に見つけ、再発しにくい体づくりをサポートしています。
ご予約・ご相談
「夜、楽な姿勢が見つからない」「自分に合った寝方を知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
【LINEで予約・相談する】https://lin.ee/YNiauVf
追伸
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の内容のように、坐骨神経痛で夜寝つけない背景には、梨状筋や中殿筋といったお尻の筋肉の硬さ、横向きで股関節が内側に倒れる寝姿勢、腰椎や胸椎の動き、運動不足による歩き方の崩れが関わっていることが多くあります。
そのため、
「痛い側を下にして寝る」
「寝る前にお尻を強くストレッチする」
「安静が一番と日中も動かない」
といった対処だけでは、夜の症状をくり返してしまう可能性があります。梨状筋症候群の検査でも、股関節を内側に倒してねじる姿勢で症状が出るかを確かめるように、姿勢によって神経の反応は大きく変わります。
実際に、
「夜、何度寝返りを打っても落ち着かない」
「夜中に足がつって目が覚める」
「どんな寝方がいいのか、誰にも教えてもらったことがない」
という方の多くは、
「自分に合った寝方と、お尻の筋肉や体の使い方へのアプローチ」が、これまでの対処に含まれていない状態です。
もし、
・どの姿勢でも変わらない痛みや、発熱
・体重減少などのサインはない
・寝る姿勢によって、楽になったりつらくなったりする
・坐骨神経痛で寝つけない日が続いている
このような状況に当てはまる場合は、一度体の状態を確認し、原因に合わせたケアに取り組むことを検討する価値があります。
当院では、寝ている姿勢や夜の状態を丁寧に伺ったうえで、お尻の筋肉や股関節、腰椎・胸椎の動き、歩き方まで含めて評価し、「なぜ夜に神経が反応してしまうのか」を一緒に整理していきます。
無理に通院をすすめることはありませんので、「まずは自分の状態を知りたい」という方も安心してご相談ください。→ 詳しくはこちらの坐骨神経痛ページをご覧ください
参考文献
・Wilke HJ, Neef P, Caimi M, Hoogland T, Claes LE. New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine. 1999;24(8):755-762.・Fishman LM, Dombi GW, Michaelsen C, et al. Piriformis syndrome: diagnosis, treatment, and outcome—a 10-year study. Arch Phys Med Rehabil. 2002;83(3):295-301.・日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』南江堂, 2019





コメント