四十肩・五十肩と腱板断裂の見分け方|医学的な違いと整体の考え方

「肩が上がらない、これはよくある四十肩・五十肩だろう」
「夜、肩の痛みで目が覚めてしまう」
肩の痛みや動かしにくさが出ると、多くの方が「五十肩だろう」と考えます。しかし、その症状の裏に、実は「腱板断裂」が隠れているケースがあります。この2つは対応方法が大きく異なるため、正確に見分けることがとても大切です。
四十肩・五十肩とは、医学的に何が起きているのか
四十肩・五十肩は通称で、正式な診断名は「肩関節周囲炎」です。肩関節を包んでいる「関節包」という組織全体に炎症が起こり、次第に硬くなる(拘縮する)ことで、腕を上げる・ひねる・背中に回すといった、あらゆる方向の動きが困難になります。
初期には強い安静時痛・夜間痛があり眠れないほどつらいこともありますが、多くの場合、時間の経過とともに炎症が落ち着き、自然に症状が軽快していく経過をたどります。
腱板断裂とは、医学的に何が起きているのか
一方、腱板断裂は、肩の骨と筋肉をつなぐ「腱板」という組織が、部分的または完全に切れてしまっている状態です。
原因は大きく2つに分かれます。
外傷性:転倒して手をついた、スポーツで肩を強打した、重い物を急に持ち上げたなど
変性(加齢性):加齢による腱の劣化や血流不足により、特別なきっかけがなくても断裂することがある
腱板断裂は60歳以降に多く見られますが、外傷がきっかけの場合は若い方にも起こり得ます。そして、四十肩・五十肩と大きく違う点として、断裂した腱は自然にはくっつきません。
見分け方のポイント
似ている症状ですが、いくつかの違いがあります。
四十肩・五十肩 腱板断裂
可動域制限
誰が持ち上げても肩が詰まって上がらない 痛みは出るが、自力や補助である程度上がる
夜間痛
初期は強いが、徐々に軽快していく 「昼より夜がつらい」痛みが持続しやすい
特徴的な感覚
肩全体の動きにくさ 力が抜ける感じ、持ち上げようとすると腕が急に落ちる
自然経過
自然に軽快することが多い 自然に治癒することはない
ただし、「五十肩と診断されても、実際にはMRIで腱板断裂が見つかることがある」とされるほど、専門医でも判断が難しいケースがあります。自己判断は避け、必ず画像検査を含めた医療機関での診断を受けてください。
医学的な標準治療
四十肩・五十肩の場合
痛みの強い時期は安静を優先し、痛みが落ち着いてきた段階でリハビリや可動域訓練を行っていきます。
腱板断裂の場合
断裂した腱自体を自然に治すことはできないため、痛みが強い時期は三角巾などで安静を保ち、痛み止めの注射やリハビリテーションで日常生活に支障のない程度まで機能改善を図ります。症状が重い場合は、腱板を修復する手術が検討されます。
整体で対応できること、できないこと
整体で直接できないこと
切れてしまった腱板を、施術によって元通りにつなげることはできません。もし腱板断裂の状態で、切れた腱に負担をかけるような無理なストレッチや施術を行うと、かえって症状を悪化させる可能性があります。「力が抜ける」「腕が急に落ちる」といった症状がある場合は、整体を受ける前に、必ず整形外科で画像検査を受けてください。
整体で対応できる可能性があること
四十肩・五十肩で、急性の強い炎症期を過ぎている場合、関節包の硬さに関連する周囲の筋肉の緊張をほぐし、可動域の改善をサポートできる可能性があります。また、腱板断裂と診断された後も、断裂した腱そのものではなく、周囲の代償的な筋肉の使い方や姿勢の崩れに対しては、整体が力になれる場合があります。
こんな時に整体という選択肢を考えてほしい
すでに整形外科で四十肩・五十肩、または腱板断裂の診断を受けている
「力が抜ける」「腕が急に落ちる」といった腱板断裂を疑う症状がない、またはすでに検査済みである
急性期の強い痛みは落ち着いており、可動域の改善に取り組みたい段階である
実際にあったご相談から
以前、「五十肩だと思って様子を見ていたが、半年経っても改善しない」というご相談がありました。念のため整形外科の受診をおすすめしたところ、部分的な腱板断裂であることが判明したケースがありました。診断が変わったことで、リハビリの方針も見直され、適切な対応につながりました。あくまで一例であり、全ての長引く肩の痛みが腱板断裂というわけではありません。
当院での考え方とアプローチ
当院では、「肩が上がらない」という訴えに対して、まず腱板断裂を疑うサイン(力が抜ける、腕が急に落ちるなど)がないかを確認します。少しでも疑いがある場合は、無理に施術を進めず、整形外科への受診をおすすめしています。
そのうえで、四十肩・五十肩の拘縮期や、腱板断裂の診断後のケアとして、周囲の筋肉の緊張や姿勢の崩れを整えることで、可動域の改善をサポートしています。
→ 詳しくはこちらの四十肩・五十肩のページをご覧ください
まとめ
四十肩・五十肩と腱板断裂は症状が似ていますが、四十肩・五十肩が誰の力を借りても肩が詰まって上がらないのに対し、腱板断裂は痛みを伴いながらもある程度動かせることが多く、夜間痛の持続や「腕が急に落ちる」感覚が特徴的です。腱板断裂は自然に治癒しないため、自己判断せず、必ず医療機関で画像検査を受けることが大切です。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の内容のように、肩の痛みや動かしにくさは、
炎症がどの段階にあるか、
腱板そのものに損傷があるかどうか、
周囲の筋肉の代償的な緊張、
日常生活での肩の使い方
によって、必要な対応が大きく異なります。
そのため、
「五十肩だろうと自己判断して、様子を見続ける」
「痛いのを我慢して、無理に肩を動かし続ける」
といった対処は、腱板断裂が隠れていた場合、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。
実際に、
「肩が上がらない期間が長く続いている」
「夜、肩の痛みで目が覚める」
「持ち上げようとすると、腕の力が抜ける感じがする」
という方の中には、
“四十肩・五十肩だと思っていたら、実は腱板断裂だった”というケースも含まれています。
もし、
・半年以上、肩の状態が変わらない
・力が抜ける、腕が急に落ちる感覚がある
・夜間痛が一向に軽くならない
このように感じている場合は、自己判断や整体だけに頼らず、まず整形外科での画像検査をおすすめします。
当院では、その可能性を丁寧に確認したうえで、
「今の肩の状態に対して、何ができて何ができないのか」
を正直にお伝えしています。
診断がすでについていて、拘縮期のケアや可動域の改善に取り組みたい場合は、
安心してご相談ください。
参考文献
中山クリニック「五十肩と腱板断裂の違いを詳しく解説!知っておくべき症状と治療法は?」
SBC整形外科クリニック横浜駅前院「肩が上がらない|五十肩と腱板損傷の違いを整形外科専門医が解説」
ふくだ整形外科「五十肩と似ているけど違う?見逃されやすい肩腱板断裂の症状と原因」
ささき整形外科「腱板断裂とは?五十肩との違い・症状・治療法を整形外科医が解説」
魚住総合クリニック「五十肩だと思ったら…実は腱板断裂かも?違いと受診の目安」





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